物件登録の事前準備
物件登録をスムーズに進めるため、事前に必要な書類の準備と重要事項の確認を行います。
📁 必要書類の準備
📄 登記関連書類
物件登録には以下の登記関連書類が必要です。
- 土地登記簿(全部事項証明書): 土地の権利関係や物理的状況を確認
- 建物登記簿(全部事項証明書): 建物がある場合、構造や築年月の確認に必要
- 公図: 対象土地の正確な位置と形状、隣接地との関係を確認
- 共同担保目録: 登記簿取得時に「共同担保目録」を選択して取得します。関連物件の確認に使用

📎 紹介資料の整理
紹介者から受領した以下の資料を整理します。
- 物件の紹介メール、添付資料
- 物件パンフレット、チラシ
- 現地写真
- 募集条件の詳細資料
これらの資料は後で「紹介資料_[地番].pdf」として一つのPDFファイルにまとめます。
💡 重要な概念の理解
📍 地番と住所の違い
INSiTEの住所欄には「地番」を入力してください。住所欄という名称ですが、実際には地番の入力が必要です。これは間違えやすいポイントの一つです。
| 項目 | 地番 | 住所 |
|---|---|---|
| 例 | 〇〇市△△町1丁目23-4 | 〇〇市△△町1丁目2-3 |
| 用途 | 登記簿の取得、INSiTE登録 | Google Map検索、郵便物 |
| 管理 | 法務局 | 市区町村 |
| INSiTE登録 | 住所欄にはこちらを入力 | 使用しない |
なぜ地番と住所が異なるのか
地番は土地の登記管理のために法務局が定めた番号で、住所は郵便配達や行政サービスのために市区町村が定めた番号です。地域によっては一致することもありますが、多くの場合異なります。
🔢 数値入力の統一ルール
INSiTEではすべての数値を半角で入力します。
- ✅ 正しい例:300坪、42台、60.00、200.00
- ❌ 間違い例:300坪、42台、60.00、200.00
なぜ半角入力が必要なのか
全角と半角が混在すると、マッチング機能が正しく機能しなくなることがあります。以下の理由から、すべての数値は半角で入力してください。
1. 重複物件検索の精度向上
- 検索対象道路、インターチェンジ、住所などを検索する際、全角と半角が混在すると検索できません
- 例:「国道2号」と「国道2号」は別の文字列として認識される
- 「阪神高速3号」と「阪神高速3号」では検索にヒットしない
2. 略称検索への対応
- 物件検索では略称での検索も多用されます
- 「IC」などの略称は半角で統一することで検索性が向上
- 表記ゆれを防ぎ、検索漏れを防止
3. データベース処理の最適化
- 数値フィールドへの正確な格納とインデックス活用
- 統一された形式によりシステム全体の処理速度が向上
📋 仮登録と本登録の違い
INSiTEの物件登録は「仮登録」と「本登録」の2段階プロセスで構成されます。
それぞれの目的と役割を理解して、効率的な物件管理を実現しましょう。
仮登録の目的
物件概要書作成における「仮登録」は、物件情報が入ってきた段階で素早く基本情報を登録し、関係者間での情報共有を早期に開始することを目的としています。
仮登録の基本的な位置づけ
- 物件概要書作成の第一段階であり、物件の基本情報を入力してシステムに登録する工程
- 本登録に向けた準備段階として機能
- 関係者間での早期情報共有の基盤となる
仮登録で入力すべき必須項目
- 地番
- 用途地域
- 建物情報
- 居抜き/借地の情報
- 備考欄
本登録の目的
本登録では、仮登録で入力した基本情報に加えて、マッチング機能に影響する詳細情報を追加入力します。
本登録で追加する項目
- 最寄駅
- IC(インターチェンジ)
- 道路情報
- 中央分離帯の有無
- ゼンリン地図のアップロード
2段階登録の実務的な意義
| 段階 | タイミング | 目的 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 仮登録 | 物件情報入手直後 | 基本情報の素早い登録 | 関係者間での早期情報共有 |
| 本登録 | 詳細情報収集後 | マッチング精度向上のための詳細情報追加 | テナント提案の精度向上 |
仮登録の実務的なメリット
- 物件情報が入ってきた段階で素早く基本情報を登録し、関係者間での情報共有を早期に開始できる
- 仮登録完了を関係者に通知することで、物件の存在を共有し、組織内での検討を開始できる
- 詳細情報の収集に時間がかかる場合でも、まず仮登録で物件を管理下に置くことができる
📝 備考欄記入のための情報収集
物件登録時の備考欄には、物件の特徴や重要事項を記載します。以下の情報を事前に整理しておきましょう。
🔧 設備情報
紹介資料やパンフレットに設備情報の記載がある場合は、INSiTEの備考欄に転記しておくと、テナントへの提案時に役立ちます。あくまで手元の資料に記載されている範囲で記入しましょう。
備考欄に記載すると推奨される項目(あくまで紹介資料に記載がある場合)
- 給排水設備: 上下水道の引き込み状況
- ガス設備: 都市ガス/プロパンガスの種別
- 電気設備: 電力容量、受電方式(高圧/低圧)
- 空調設備: 既存空調の有無、方式
- 排気設備: 排気ダクトの有無
- その他設備: エレベーター、エスカレーター等
⚖️ 権利関係(抵当権、根抵当権、賃借権、地役権等)
登記簿から権利関係を確認し、以下の形式で記載準備をします。
根抵当権の記載形式
根抵当権設定有/[設定日]/[権利者]/極度額[金額]
(例): 根抵当権設定有/平成5年7月14日/株式会社三井住友銀行/極度額4.5億円
抵当権の記載形式
抵当権設定有/[設定日]/[権利者]/債権額[金額]
(例): 抵当権設定有/令和2年3月15日/株式会社みずほ銀行/債権額2億円
複数の抵当権がある場合
順位を明記して複数行で記載します。
第1順位 根抵当権設定有/平成5年7月14日/株式会社三井住友銀行/極度額4.5億円第2順位 抵当権設定有/平成10年8月20日/○○信用金庫/債権額1億円📜 法規制・特殊条件
物件に関わる法規制や特殊条件を確認します。
- 建築協定・地区計画: 地域の特別な建築制限
- 都市計画法上の制限: 開発許可の要否、市街化調整区域等
- 景観条例: 看板・外装に関する制限
- その他の特殊条件: 土壌汚染、埋蔵文化財、浸水想定区域等
✅ 備考欄記入チェックリスト
備考欄に記載する際は、以下の項目を確認してください。
- 設備情報(給排水、ガス、電気等)の特記事項
- 権利関係(抵当権、根抵当権等)の現況
- 法規制・特殊条件の有無
- アクセス・立地の特徴
- 過去のテナント情報(業種、退去理由等)
- 物件の強み・セールスポイント
- 注意事項・制約条件
🛠️ 必要ツール・サービスの準備(例)
以下は一般的に使用されるツールやサービスの例です。会社ごとに使用するツールは異なる場合がありますので、あくまで参考としてご覧ください。
| ツール/サービス | 用途 | URL |
|---|---|---|
| 登記情報提供サービス | 登記簿・公図取得 | https://www1.touki.or.jp/ |
| Google Map | 距離測定・周辺確認 | https://maps.google.com/ |
| 地価マップ | 路線価・地価検索 | https://www.chikamap.jp/chikamap/ |
| 自治体都市計画情報システム | 用途地域・制限確認 | 各自治体サイト |
| INSiTE | 物件情報登録 | https://www.insite.lusic.co.jp/ |
| 既存店登録アプリ | 周辺既存店登録 | https://lab.lusic.co.jp/putTenantExistingShop/index.html |
🔄 物件登録の全体的な流れ
必要なツールや情報が揃ったら、以下の流れで物件登録を進めます。
1. 事前準備(このページ)
- 登記簿・公図の取得
- 紹介資料の整理とPDF化
- 地番の確認
- 備考欄記載情報の収集
- 必要ツールの準備
2. 重複物件の検索
同じ物件が既に登録されていないか確認します。
- 地番での検索(最も確実)
- 略称・住所での検索
- 重複が見つかった場合は更新か新規登録かを判断
3. 仮登録
物件の基本情報を素早く登録します。
- 地番、用途地域、建物情報の入力
- 物件概要書備考欄の記載
- Mapピンの設置
- 登記資料・紹介資料のアップロード
詳細は「仮登録手順」を参照してください。
4. 本登録
マッチング機能に必要な詳細情報を追加します。
- 最寄駅、IC、道路情報の入力
- ゼンリン地図のアップロード
- 賃貸/売買条件の入力
- NG業種の設定
詳細は「本登録手順」を参照してください。
5. 登録完了後の確認
- 物件IDの取得
- 物件概要書の自動生成確認
- 登録内容の最終確認
🔍 重複物件の検索
⚠️ なぜ重複確認が重要か
🔎 効果的な検索方法
1. 地番での検索(最も確実)
物件一覧画面の検索フォームで地番を入力して検索します。
検索例
- 完全一致:「神戸市長田区菅原通6丁目14-1」
- 部分一致:「菅原通6丁目14」
2. 略称での検索
地域名や施設名で検索してみましょう。
検索例
- 「長田」
- 「菅原」
- 旧テナント名(例:「ジーユー」「GU」)
3. 住所での検索
地番が分からない場合は、住所の一部で検索することも可能です。
検索例
- 市区町村名:「長田区」
- 町名:「菅原通」
🔄 重複が見つかった場合の対処
➡️ 次のステップ
事前準備が完了したら、以下の手順で物件登録を進めます。
📋 仮登録手順
収集した情報を基にINSiTEへ物件の基本情報を入力します。
- 地番、用途地域、建物情報の入力
- 物件概要書備考欄の記載
- 登記資料・紹介資料のアップロード
- 基本情報の登録と保存
📝 本登録手順
仮登録完了後、マッチング精度向上のための詳細情報を追加します。
- 最寄駅、IC、道路情報の入力
- ゼンリン地図のアップロード
- 賃貸/売買条件の詳細入力
❓ よくある質問(FAQ)
Q: 登記簿と公図はどちらも必要ですか? A: はい、両方必要です。登記簿で権利関係と詳細情報を、公図で位置関係と形状を確認します。
Q: 地番が複数ある場合はどうすればよいですか? A: 代表地番の後に「外」を付けて登録します。例:「神戸市長田区菅原通6丁目14-1外」
Q: 紹介資料が大量にある場合の整理方法は? A: 重要な情報(募集条件、物件概要、図面)を優先して1つのPDFにまとめてください。
Q: 登記情報提供サービスのIDがない場合は? A: システム管理者に相談して、共用IDの利用または新規登録を依頼してください。